HIV感染症

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による感染症。進行するとAIDSを発症する。
感染源は感染者の血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液である。

【病気の概要】
 性的接触により性器、肛門、口などの粘膜や傷口からHIVウイルスが体内に入って感染します。主な感染源は感染者の血液、精液、膣分泌液、母乳などですが、わずかながら唾液や傷の浸出液などにも可能性はあります。麻薬や覚せい剤のまわし打ちで感染する可能性も高率です。
 

 皮膚や粘膜の小さな傷口から侵入したHIV:human immunodeficiency virus(ヒト免疫不全ウイルス)はヒトの免疫の司令塔であるCD4陽性リンパ球に感染しその細胞内で増殖します。HIVに感染したCD4陽性リンパ球は次々と破壊されます。すると細菌やウイルスを攻撃する細胞への指令ができなくなります。結果として免疫機能が弱まり、健康なときには排除できたような病気にもかかりやすくなります。日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)と言います。

 
日和見感染症を発症した状態をエイズAIDS:acquired immunodeficiency syndrome (後天性免疫不全症候群)と言います。HIV感染してからAIDSを発症するまでに6ヶ月〜15年、平均10年ぐらいかかると言われています。現在はHIV感染症に対する治療法が進歩しAIDSを発症する前にHIV感染が診断されればAIDSになるまでの期間を延長することができるようになりました。

【症状】
 
HIVの初感染症状は感染してから1〜4週後位で、発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎症状、倦怠感、発疹、筋肉痛、関節痛、下痢、頭痛などがみられます。ちょうど風邪症状に似ています。このためHIV感染のリスクを意識していなければ普通の”感冒”として見逃され症状も自然に軽快してしまいます。この初発症状は全員にでるわけではありません。
 その後の慢性感染期では初期のうちは免疫状態も保たれ何の自覚症状もありません。この時の免疫状態(HIVの進行状態)の指標がCD4陽性リンパ球数です。CD4陽性リンパ球が少なくなってくると日和見感染を併発する状態(AIDS発症)になります。

  多くの人は生命を脅かすような事態になって初めて自分がHIV感染者である事実を知ります。
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【母子感染】
 母親から子供に妊娠中に子宮内の胎盤から、分娩時の産道を通過するとき、出産後の授乳により、感染する可能性があります。妊娠初期からHIV検査を行い感染があれば予防策を講じます。

他のSTDとの関連

STDに感染して性器に炎症や潰瘍があるとHIVウイルスが侵入しやすくなります。
HIV感染率が高くなることが知られています。

【診断方法】  感染の機会があってから3ヶ月すると検査が可能となります。HIV感染症の診断は血液検査(HIV抗体)で行われます。抗体検査にはスクリーニング検査と確認検査があります。通常は最初にスクリーニング検査を行い疑いのある症例では確認検査を行います。スクリーニング検査では約1%で擬陽性があります。


【どこで検査ができるか?】
・普通の医院、クリニック、病院で血液検査が受けられます。保険がききます。

・各市町村の社会保険福祉事務所(保健所)では匿名で無料で検査が受けられます。曜日、時間、予約制の有無はまちまちですので各保健所に電話して尋ねてください。大変丁寧に応対してくれます。保健所での検査は多くの場合迅速検査でその日のうちに結果がわかります。
参照 http://www.hivkensa.com/

献血ではHIV抗体検査の結果は献血者には通達されません。
HIVが心配な人が診断を受けようと献血に訪れ輸血によるHIV感染の危険が高まってしまうからです。
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【治療法】
 
抗HIV薬を3〜4種類用いて治療します。多剤併用療法によりウイルスの増殖を阻止し、突然変異による薬剤耐性株の出現を抑える目的があります。

【HIV治療上の問題点】
・HIV治療ではウイルスの増殖を抑制できるが根絶はできない。
・ウイルスが薬剤耐性となりやすい。
・副作用が強い。
・治療費用が高い。
・規則正しい内服の長期の継続が必要。


続く

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